硝子体手術における強膜三面切開法は、無縫合での創口閉鎖率が高い

小ゲージ硝子体切除術では、無縫合の強膜三面切開後のほうが硝子体およびガスや液体の漏出頻度が少ないと報告された。

研究より、新規に開発された経強膜の強膜三面切開を使用すると無縫合による創口閉鎖が得られるという。

"手術の第一の基本に立ち返れば、本来の外科・解剖学的な利点を使用した創口はより良く閉塞する可能性が高い"と、本試験の代表的著者であるVinit B. Mahajan氏(MD、PhD)はOcular Surgery Newsに語った。

"三面切開の創口は数種の組織から形成され、3つの面は創がゆがむことなく閉鎖し、液体や小分子(の流出)に対する良好なバリアを形成できると考えられています。"

このArchives of Ophthalmology誌に発表された研究は、連続した症例をプロスペクティブに検討しており、初回硝子体手術例で経強膜三面トンネル切開創を23ゲージ、トロカール・カニューレ極小切開硝子体手術システム(アルコン社)を使用して作製した。60眼で180例の強膜切開、および続いての術後の空気・液体置換術とカニューレ除去が実施されている。

強膜創の整合性を評価するため、結膜は切除し、創の硝子体やガス、液体の流出などの直接測定は、それぞれセルローススポンジの使用、ガスの漏出の観察、Seidel法等を使用した。

"我々の知りうる限り、これは術中そして組織学的にヒトの眼において強膜三面切開を試験した最初の報告であり、術後に行う眼圧測定および創口の画像撮影などの代理的評価法に頼らず(手術室中において)小ゲージ強膜切開創のテストにおいて標準化された方法を適用した最初のものです"とMahajan氏は言う。

強膜創からの漏出を試験する

創口の開放や閉鎖にはどのような要因が関与するか判断されていないため、創からの漏出を検査する確立された試験法はない。そのため術中の創口作製の評価は複雑なものになると著者らは述べている。

3つの方法はすべて、すくなくとも1回の漏出を検出しているが、いずれの方法も最も感度が高いと示されているものではない。著者らは複数の方法を継続して使用することを推奨している。

"眼科手術における創口の解剖学的閉塞を評価する、標準的な術中テストは存在するが、そのいずれも完璧なものではない。これらは術後も創口が閉塞性を保つかを示すものではない"と共著者のRyan Tarantola氏(MD)は言う。

しかし、ガス漏出の観察が漏出を高い頻度で検出しているので、この方法が感度に優れることが示唆されていると、同氏は述べる。

ほかの試験方法でより高い、漏出の陽性率を示したものはない。

"もし強膜切除創が硝子体、ガス、液体のいずれかによって満たされていたら、外部創へほかのものが達することを阻害しているのかもしれない"とMahajan氏は語る。

"例えば、もし硝子体が強膜切除創をブロックしていたら、液体やガスがそこを通過するのはより困難になるということは想像に難くない。"

試験結果

試験の結果、閉塞率93.9%が観察され、11例の強膜切除創が開放したままであった。

そのうち8例でガス漏出、2例でSeidel法陽性、1例で硝子体漏出が報告された。

"複雑な強膜創構造を作製すれば、良い術中の創口閉塞を得られるようだが、必ず100%閉塞するというわけではない"とMahajan氏は言う。

"もし疑いがあれば、患者は術後眼内炎のリスク要因を持つことになるので、縫合を行うことを躊躇してはいけない。"

より複雑な症例で、手術時間が長く、多くの器具を創へ通過させ、創での操作が増加すると、高い率での漏出発生に関連していた。増殖性硝子体網膜症で網膜剥離を合併した症例では81%の創口閉塞率が観察された。

本報告の著者らは23ゲージ硝子体切除に移行しようとしている術者に対し、結膜切除を行ってから強膜切除創を作製することを推奨しており、それは術者が術後結果とそれぞれの創口作製法による閉塞率を理解するためという。

"極小ゲージ手術では最初の数例で、結膜を切除し直接に強膜を見ることができる状態で行わせると、フェローの術者で創口作製のクオリティーが迅速に改善した例を見ています"と、Mahajan氏は言う。

さらに、同氏は結膜が視野をさえぎっていると、強膜創が閉塞しているかどうか判断するのはほとんど不可能と語る。

加えて、縫合率(6.1%)、術後1日目での低眼圧症(1.7%)もともに低い結果が観察された。しかし、本研究は強膜三面切開と二面あるいは一面と比較する対照群が設けられておらず、さらなる研究の必要性が示唆されている。

"我々の試験結果から、適切に構築された23ゲージ強膜三面トンネル切開は硝子体、ガス、液体の漏出率が低く、強膜切開法を選択する際には優れた選択肢となる」と著者らは述べている。- Michelle Pagnani

Reference:

  • Mahajan VB, Tarantola RM, Graff JM, et al. Sutureless triplanar sclerotomy for 23-gauge vitrectomy. Arch Ophthalmol. 2011;129(5):585-590.

  • Vinit B. Mahajan(MD、PhD)連絡先: Department of Ophthalmology and Visual Sciences, University of Iowa Hospitals and Clinics, 200 Hawkins Drive, Iowa City, IA 52242, U.S.A.; 電話:+1-319-356-8161; メール: vinit-mahajan@uiowa.edu.
  • 開示情報:Mahajan氏は記事中に記載のあったいずれの製品に関しても直接的な金銭的関与をもたず、記載のあった企業のコンサルタントを勤めるものではない。

PERSPECTIVE

この一連の経毛様体扁平部硝子体切除例では、全眼で三面強膜切開23ゲージトロカール挿入と部分的な液ガス置換を術終了時に行っている。高い割合で無縫合での強膜創の閉塞が得られた。本報告の著者らも指摘しているように、同様の平均角度でのアプローチにおいて、三面トロカール挿入が二面あるいは一面挿入より優れるかは本研究から判断できない。さらに、術終了時にルーチンで空気に置き換えることは創からの漏出を最低限にしていたことが考えられ、創口からの漏出率と縫合率を低く抑制するために貢献したものと考えられる。さらに、結膜切開をトロカール挿入前に行う追加的なステップが、有益であるかどうかも判断できない。そのため、手術時間が延長する上、いくらか患者に不快感を与えることになるだろう。さらに、より大きい結膜切開のために、眼は感染症にかかりやすくなることも考えられる。

— Carl D. Regillo, MD
OSN U.S. 網膜硝子体分野編集委員
開示情報:Regillo氏はアルコン社から研究サポートを受けており、同社のコンサルタントを務める。

研究より、新規に開発された経強膜の強膜三面切開を使用すると無縫合による創口閉鎖が得られるという。

"手術の第一の基本に立ち返れば、本来の外科・解剖学的な利点を使用した創口はより良く閉塞する可能性が高い"と、本試験の代表的著者であるVinit B. Mahajan氏(MD、PhD)はOcular Surgery Newsに語った。

"三面切開の創口は数種の組織から形成され、3つの面は創がゆがむことなく閉鎖し、液体や小分子(の流出)に対する良好なバリアを形成できると考えられています。"

このArchives of Ophthalmology誌に発表された研究は、連続した症例をプロスペクティブに検討しており、初回硝子体手術例で経強膜三面トンネル切開創を23ゲージ、トロカール・カニューレ極小切開硝子体手術システム(アルコン社)を使用して作製した。60眼で180例の強膜切開、および続いての術後の空気・液体置換術とカニューレ除去が実施されている。

強膜創の整合性を評価するため、結膜は切除し、創の硝子体やガス、液体の流出などの直接測定は、それぞれセルローススポンジの使用、ガスの漏出の観察、Seidel法等を使用した。

"我々の知りうる限り、これは術中そして組織学的にヒトの眼において強膜三面切開を試験した最初の報告であり、術後に行う眼圧測定および創口の画像撮影などの代理的評価法に頼らず(手術室中において)小ゲージ強膜切開創のテストにおいて標準化された方法を適用した最初のものです"とMahajan氏は言う。

強膜創からの漏出を試験する

創口の開放や閉鎖にはどのような要因が関与するか判断されていないため、創からの漏出を検査する確立された試験法はない。そのため術中の創口作製の評価は複雑なものになると著者らは述べている。

3つの方法はすべて、すくなくとも1回の漏出を検出しているが、いずれの方法も最も感度が高いと示されているものではない。著者らは複数の方法を継続して使用することを推奨している。

"眼科手術における創口の解剖学的閉塞を評価する、標準的な術中テストは存在するが、そのいずれも完璧なものではない。これらは術後も創口が閉塞性を保つかを示すものではない"と共著者のRyan Tarantola氏(MD)は言う。

しかし、ガス漏出の観察が漏出を高い頻度で検出しているので、この方法が感度に優れることが示唆されていると、同氏は述べる。

ほかの試験方法でより高い、漏出の陽性率を示したものはない。

"もし強膜切除創が硝子体、ガス、液体のいずれかによって満たされていたら、外部創へほかのものが達することを阻害しているのかもしれない"とMahajan氏は語る。

"例えば、もし硝子体が強膜切除創をブロックしていたら、液体やガスがそこを通過するのはより困難になるということは想像に難くない。"

試験結果

試験の結果、閉塞率93.9%が観察され、11例の強膜切除創が開放したままであった。

そのうち8例でガス漏出、2例でSeidel法陽性、1例で硝子体漏出が報告された。

"複雑な強膜創構造を作製すれば、良い術中の創口閉塞を得られるようだが、必ず100%閉塞するというわけではない"とMahajan氏は言う。

"もし疑いがあれば、患者は術後眼内炎のリスク要因を持つことになるので、縫合を行うことを躊躇してはいけない。"

より複雑な症例で、手術時間が長く、多くの器具を創へ通過させ、創での操作が増加すると、高い率での漏出発生に関連していた。増殖性硝子体網膜症で網膜剥離を合併した症例では81%の創口閉塞率が観察された。

本報告の著者らは23ゲージ硝子体切除に移行しようとしている術者に対し、結膜切除を行ってから強膜切除創を作製することを推奨しており、それは術者が術後結果とそれぞれの創口作製法による閉塞率を理解するためという。

"極小ゲージ手術では最初の数例で、結膜を切除し直接に強膜を見ることができる状態で行わせると、フェローの術者で創口作製のクオリティーが迅速に改善した例を見ています"と、Mahajan氏は言う。

さらに、同氏は結膜が視野をさえぎっていると、強膜創が閉塞しているかどうか判断するのはほとんど不可能と語る。

加えて、縫合率(6.1%)、術後1日目での低眼圧症(1.7%)もともに低い結果が観察された。しかし、本研究は強膜三面切開と二面あるいは一面と比較する対照群が設けられておらず、さらなる研究の必要性が示唆されている。

"我々の試験結果から、適切に構築された23ゲージ強膜三面トンネル切開は硝子体、ガス、液体の漏出率が低く、強膜切開法を選択する際には優れた選択肢となる」と著者らは述べている。- Michelle Pagnani

Reference:

  • Mahajan VB, Tarantola RM, Graff JM, et al. Sutureless triplanar sclerotomy for 23-gauge vitrectomy. Arch Ophthalmol. 2011;129(5):585-590.

  • Vinit B. Mahajan(MD、PhD)連絡先: Department of Ophthalmology and Visual Sciences, University of Iowa Hospitals and Clinics, 200 Hawkins Drive, Iowa City, IA 52242, U.S.A.; 電話:+1-319-356-8161; メール: vinit-mahajan@uiowa.edu.
  • 開示情報:Mahajan氏は記事中に記載のあったいずれの製品に関しても直接的な金銭的関与をもたず、記載のあった企業のコンサルタントを勤めるものではない。

PERSPECTIVE

この一連の経毛様体扁平部硝子体切除例では、全眼で三面強膜切開23ゲージトロカール挿入と部分的な液ガス置換を術終了時に行っている。高い割合で無縫合での強膜創の閉塞が得られた。本報告の著者らも指摘しているように、同様の平均角度でのアプローチにおいて、三面トロカール挿入が二面あるいは一面挿入より優れるかは本研究から判断できない。さらに、術終了時にルーチンで空気に置き換えることは創からの漏出を最低限にしていたことが考えられ、創口からの漏出率と縫合率を低く抑制するために貢献したものと考えられる。さらに、結膜切開をトロカール挿入前に行う追加的なステップが、有益であるかどうかも判断できない。そのため、手術時間が延長する上、いくらか患者に不快感を与えることになるだろう。さらに、より大きい結膜切開のために、眼は感染症にかかりやすくなることも考えられる。

— Carl D. Regillo, MD
OSN U.S. 網膜硝子体分野編集委員
開示情報:Regillo氏はアルコン社から研究サポートを受けており、同社のコンサルタントを務める。